Haruの雑記ブログ

映像翻訳者のHaruです。大好きな映画やサッカーのこと、時事ネタ、文化考察まで。関心分野を備忘録的に。

パリの「シャルリーエブド」襲撃事件/フランスの移民問題

 1月7日に起こった「シャルリーエブド」本社に覆面をした複数の武装した犯人が押し入り職員を襲撃、警官2人、編集長、風刺漫画の担当記者ら合わせて、12人が死亡した事件。

この事件後、「シャルリーエブド」誌の風刺画や、イスラム過激派のテロ、フランス国内の移民問題について、など様々な議論が世界各国で起こっています。

とりわけ風刺画に関しては、日本人にとって理解しにくい部分もあります。

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フランス国内の意見としては、「風刺は言論の自由であり、テロに屈することなく、これまでのような風刺を続けいていくべきだ。」という意見が多いようです。

一方、日本では「これは少しやり過ぎじゃないか?」という意見も多く出てきています。

この日本人の意見は、もしかしたらフランスの文化に対する理解不足かもしれませんし、世界的に見ても少数派意見かもしれません。

ですが、日本人のこの「やり過ぎじゃないか?」という考えは非常に尊いものだと私は思います。

少し話は変わりますが、フランスの移民問題がこの事件が起こった原因のひとつであることは間違いありません。

フランスは多くの移民を受け入れた過去があり、現在多くの移民2世3世が暮らしています。しかし、その多くは貧困層であり、失業率も非常に高くなっています。

彼らは、産まれた時からフランスにいるのにも関わらず、「移民」という枠組みに入れられ、就職の際や、生活の多くの場面で不公平な扱いを受けているのです。

そして、9・11以降、イスラム過激派のテロが多発したことにより、移民排斥運動が活発化し、イスラム教徒が多くを占める移民たちは、さらに厳しい立場へと追いやられています。

さらに今回の銃撃事件以降、フランス国内のモスクやイスラム宗教施設に対する嫌がらせが増加しています。

こうした移民排斥運動に対して、移民たちは不満を募らせ、暴動やテロといった犯罪へと足を踏み入れる若者が生まれていくのだと思います。

この負のスパイラルを止めることは出来ないのでしょうか?

ここで、今回日本人が風刺画を見て感じる「やり過ぎじゃないか?」という意見が必要なのだと思うんです。

移民が多く暮らす国として、異なる宗教に対する理解や、気遣いは、言論の自由の中にも、必要ではないか。と私は思います。

言うまでもなく、テロ行為は到底許されるものではありません。

ですが、それによって、一般のイスラム教徒に対して、偏見や差別の眼差しを向けることは同じく許せん。
フランスは今回のテロを受けて、イスラム過激派への抗議とともに、国内のイスラム教徒に対しては、フランス国旗が掲げる友愛を示すことが必要です。