Haruの雑記ブログ

映像翻訳者のHaruです。大好きな映画やサッカーのこと、時事ネタ、文化考察まで。関心分野を備忘録的に。

イーストウッド監督作品「アメリカン・スナイパー」感想 ~現代の戦争が生んだクリス・カイルという人間の人生とは?~

 

 クリント・イーストウッド作品史上最大のヒット作として社会現象を巻き起こした、イーストウッド監督作品「アメリカン・スナイパー」を見てきました。

第87回アカデミー賞では音響編集賞を受賞しています。

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スコア

★★★★☆(4.5)

 

あらすじ

イラク戦争に出征した、アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズの隊員クリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)。スナイパーである彼は、「誰一人残さない」というネイビーシールズのモットーに従うようにして仲間たちを徹底的に援護する。人並み外れた狙撃の精度からレジェンドと称されるが、その一方で反乱軍に賞金を懸けられてしまう。故郷に残した家族を思いながら、スコープをのぞき、引き金を引き、敵の命を奪っていくクリス。4回にわたってイラクに送られた彼は、心に深い傷を負ってしまう。                       シネマトゥデイ

 

感想

いや~緊迫の2時間ちょっとでした!色んな意味で震えました。

本当に完成度の高い映画になっています。

単なる戦争映画ではなく、イーストウッド監督はクリス・カイルという1人の人間の心情を描いています。兵士のリアルな感情、帰還後の苦しみ、残された家族の苦悩を魅せつけられました。

まず、言いたいのは、この物語は実話が元になっており、しかもそんな過去の話ではないということ。つい数年前の話なのです。現代の戦争を描いているのです。

私たちが、平和に日本で暮らしていた時に、この映画で描かれていることが実際に起こっていたのです。

この映画の主人公は、ブラッドリー・クーパー演じるクリス・カイル。

彼は、イラクで激しい戦争を経験していくにつれて、心が戦争に支配されていきます。

無事に帰還しても、完全に心ここにあらず。 戦地とアメリカとのギャップに苦しむことになります。

「戦地では殺し合いが行われているのに、ここでは、誰もそんなことは気にせず、ショッピングセンターで買い物を楽しんでいる。」

なんなら、早く戦地に戻って、「仲間を1人でも救いたい」。そう感じているようでした。そして、それによって生まれる夫婦間のすれ違い。

非常にリアルな現代の戦争が生む大きな問題が表現されていました。

4回目の派遣後に、ついに退役し、家族の元へと帰る決心をしたクリス・カイル。

同じようにPTSDで苦しむ帰還兵の支援などを行うようになります。

が、それが思いもかけない悲劇を生むことになります。

そして、最後の無音のクレジット。

ここで、この作品の伝えたかったことを深く考えさせられました。

エンドクレジットが無音なだけに、慌ただしく席を立つ人が多く見られましたが、この無音の空間と時間も作品の一部だと私は思います。

改めて、戦争は歴史なんかではない、私たちが生きる現代で日々起こっている悲劇の連鎖だと痛感させられました。

この映画を見てクリス・カイルという人物について、さらに知りたくなりました。

ネイビー・シールズのメンバーとして、イラクで活動した際の記録が書かれた自叙伝も書籍化されているようです。

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