Haruの雑記ブログ

映像翻訳者のHaruです。大好きな映画やサッカーのこと、時事ネタ、文化考察まで。関心分野を備忘録的に。

「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」感想 アラン・チューリングが証明したマイノリティの存在意義

「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」を見てきました。

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作品解説

「SHERLOCK シャーロック」のベネディクト・カンバーバッチ主演で、第2次世界大戦時、ドイツ軍が世界に誇った暗号機エニグマによる暗号の解読に成功し、連合国軍に勝機をもたらしたイギリスの数学者アラン・チューリングの人生を描いたドラマ。第87回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞、優賞など計8部門でノミネートされ、脚色賞を受賞した。1939年、第2次世界大戦が始まり、イギリスはドイツに宣戦を布告。ケンブリッジ大学の特別研究員で、27歳にして天才数学者と称えられるアラン・チューリングは英国政府の秘密作戦に参加し、ドイツ軍が誇る暗号エニグマの解読に挑むことになる。解読チームには6人の精鋭が集められるが、他人と協調することを嫌うチューリングとチームメンバーとの間には溝が深まっていく。チューリングを理解し、支える女性ジョーン・クラークにキーラ・ナイトレイ。監督は、「ヘッドハンター」で注目を集めたノルウェーのモルテン・ティルドゥム。 映画.com

 

スコア

★★★★☆(4.0)

 

 

 感想

鑑賞前から、今年1番と言っていいほど、期待していた作品だったので、この映画が「第二次大戦中にナチス・ドイツの暗号機エニグマを解読するための機械を作った天才数学者の話」ということは知っていました。なので、「戦争ドラマでもあり、ヒューマンドラマでもある実話を元にした作品」ということで、単純に「面白そう!」と思っていたのですが。

この映画にはもっと、深くて、扱いづらいテーマが隠されていました。

この映画に隠されたテーマ。それは変わり者、マイノリティの存在をどう捉えるかだと思います。

アラン・チューリング同性愛者でした。彼は子ども時代、変わっていること、異質な存在であるがゆえに虐められていました。その時、唯一の理解者であったクリストファーという男の同級生に恋をしたのです。

しかし、そのクリストファーは病気で死んでしまします。そのことがチューリングの人生に大きな影響を及ぼしていることは間違いありません。

彼は、一見すると数学オタク、機械オタクに映るかもしれません。しかし、彼が本当に愛していたのは、数学でも機械なく、クリストファーだったのです。

クリストファーの死が、チューリングを機械と人工知能の研究へと没頭させたのです。人工知能によって、クリストファーの心を生かし続けようと考えたのかもしれません。

チューリングが人生をかけて行った人工知能の研究は、クリストファーを取り戻すための戦いでもあったのです。

だからこそ、あの機械にクリストファーという名前をつけたのでしょう。

 

“Stay Wired, Stay Different”

この映画でアカデミー賞脚色賞を受賞したグレアム・ムーアのスピーチは、大きな感動を生みました。そのスピーチを紹介します。

アラン・チューリングは、このような舞台で皆さんの前に立つことができませんでした。でも、わたしは立っています。これは不公平です。16歳の時、わたしは自殺未遂をしました。自分は変わった人間だと、周りに馴染めないと感じたからです。
でも、いまここに立っています。この映画を、そういう子どもたちに捧げたい。
自分は変わっている、どこにも馴染めないと思っている人たちへ。
君には居場所があります。変わったままで良いのです。
そして、いつか君がここに立つときが来ます。だからあなたがここに立ったときには、君が次の世代に、このメッセージを伝えてください。ありがとう。

あなたが変わっているから、世界はこんなにも素晴らしい」

「時に、誰も想像もしない人物が、誰も想像できない偉業を成し遂げる」

作中のセリフでも出てくるように、人と違っているからこそ、出来ることがある。変わり者だって、マイノリティであっても、堂々と生きていいんだ。という脚本家の思いが伝わってきます。

 

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